The International Love Cafe Vol.4

By Dannette Lambert

それは、私たちルームメイトで恒例の、日曜日のブレックファストを楽しんでいた時の事でした。ルームメイトの一人である美穂が、突然そのニュース、1年間中国へ行くと言うことを私たちに告げたのです。ちょうど私が、東京から仕入れた特別美味しいパンに好きなトッピングを加えたベジタブルバーガーを味わっていた時です。昨夜のパーティーでの楽しかったことを思い出して一人空想に耽っていた私に、その重要な事実が突然重くのしかかってきました。まったく予期していなかった彼女の言葉を飲み込むまでに、私はしばらく時間が必要でした。それまで私を夢中にしていたベジタブルバーガーは、突如としてまったく味のない、乾いた固まりとなって私の喉を詰まらせました。窒息しそうだと感じたのと同時に、それを止めるための潤滑油としてはあまりにも悲しいものが、涙という形でこぼれ落ちました。私は悲しみをこらえきれなくて、アパートを飛び出していました。家を飛び出して、私が考えていたことはただ一つです。「美穂なしで、これからどうすればいいの?」

皆さんは、私のように家族や友人を祖国に残して(1度ならず過去2度も)外国で暮らしている人間なら、そのようなシチュエーションには慣れっこになっているから、大丈夫だと思われるかもしれません。でも今回は話が違います。一緒にいられなくなるのが、他でもない「美穂」だからです。

彼女の事を知っている方なら私の言う意味がお分かりだと思います。広島在住のアーティスト、彼女が触れたモノはたちまちその魔法にかかったように美しく輝きはじめる、そんな人です。その素敵な着こなし、いつも身につけているエキゾチックなアクセサリーや想像力を刺激するヘア−スタイルを見れば、彼女自身がその止まる所を知らないクリエイティブな作品そのものだという印象を受けることでしょう。彼女は外部の何ものからも制限されることなく常に新しい試みをし、その意志や心を広めていっていると思います。ヒッチハイクで日本中を旅行するにせよ、沖縄のさとうきび畑で農作業を手伝うにせよ、将来スペインで暮らしたいからとスペイン語を勉強するにせよ、彼女は常に自由に夢を描きそしてそれを実現するためのステップを躊躇することなく歩んでいるのです。

だからこそ、中国への移住なのです。頭では、私も十分理解しています。私自身の感情を抜きにすれば、私はその決断をくだした美穂のことを誇りに思います。今回の中国での経験(ジュエリーデザイナーとして働くということ)が、美穂が今後それをビジネスとして続けていく上でとても役に立つものになるであろうことも分かっています。彼女が一番好きなことを今後の生活の糧にしていけるのですから。ですから私はそのことを本当に喜ばしいことだと思っているのです。

でも、この半年間彼女と暮らし、こんなにも私の日常の中で愛情を分かち合う心地よさを一緒に味わってきた人間として、彼女の笑い声やその美しさなしで暮らしていくという事実はあまりにも堪え難いことに思えるのです。美穂が、準備のためにしばらく中国へ行ってしまっていた時、それまですっかり春めいてきていた気候が急に一転して冬に逆戻りしてしまったかのように冷えきってしまったのは、ただの偶然だったのでしょうか?そしてしばらくしてまた美穂が戻って来たということを、私はまた暖かく素晴らしいお天気に恵まれた日に直感で感じたのです。たった10日程の美穂の不在で、私は、これから1年間もそんな不安な気持ちを体のどこかに感じながら過ごしていかなければいけないのだということを思い知らされたようでした。

今、美穂は私たちと一緒にいます。そして美穂が戻って来てから、このアパートの住人達はどことなくほっとしてリラックスしているように見えます。ひさしぶりに今夜皆が揃って、ベースインスティンクトのパーティーへ出かける準備をしているところです。この記事を書きながら隣の部屋で美穂とナオがお喋りしながら笑いあっているのが聞こえてきます。美穂が、本当に旅立ってしまうその日まではもう泣かないことにしましょう。そして悲しんでばかりいるかわりに、彼女との残されている時間をハッピーに過ごすことにします。そう、それは彼女のために。そして離れている間にも、私が彼女と出会えたことをどれ程ラッキーだったと感じているかをどんな形であれ伝えようと思います。

そろそろパーティーに出かける時間です。

大好きな美穂。私たちは大丈夫です。きっと。