The International Love Cafe Vol.5

By Dannette Lambert

はじめて、スパッド・ディディとスパッド・バニーに逢ったとき、正直私は二人ともちょっと変わった人だなと思いました。二人はまだその頃そのニックネームで呼ばれていませんでしたから、なかなか面白いその名前のせいではありません。また、まるでコメディーを見てるみたいな彼らの果てしない冗談や何を言っても「すごいだろう?ねえ?」とあっけらかんと言ってのける(日本ではお世辞に対して謙遜するのが一般的ですが)その態度のせいでもありませんでした。私が二人を変わった人だと思ったのは、二人のアパートにあったオーブンのせいだったのです。

その当時二人がシェアしていた2LDKのアパートでその恐ろしく大きなキング・エドワードの黒いオーブンは一種異様な様子を呈していました。特に日本ではほとんどの家庭に電子レンジはあっても、そんな大きなオーブンが設置されているアパートはなかなかありません。そのキング・エドワードのオーブンがわざわざイギリスから神戸を経由してアパートに運び込まれ、真夏の熱い日にそこでポテトを焼いていたのですから、いくら私もケーキやお菓子を焼くのが好きだからといって、その光景には疑問を抱かずにはいられなかったのです。

その疑問は今年の3月になってようやく解決しました。何とも馬鹿馬鹿しく見えたそのオーブンと二人の努力の結果、彼らはとうとう八丁堀にベークドポテトショップ、「Spud Love」をオープンさせたのです。正面に誇らし気に描かれたユニオンジャックが目印のそのお店では豊富に用意されたチョイストッピングをのせた熱々のベークドポテトがどこにもない程安く楽しめるのです。お店の前に用意されたテーブルと、ビールの種類の多さもこれからの季節には最高だし、テイクアウトも出来ますからお花見の時にはとても便利でしたし、ピクニックなんかにはもってこいです。

いつか自分のレストランを持ちたいと密かに夢見ている「日本に住む外国人」として、彼らのオープンまでの努力や苦労を見させてもらうことで大変勉強になりましたし、またインスパイヤされたのも事実です。それ(外国人の彼らが日本でレストランをオープンさせるということ)は確かに大変なことだったと思います。営業許可を取ることが思いのほか難しくてオープンが遅れたり、また日本の人たちの口に合うよう味付けを工夫するなど、やらなければいけないことは山積みでした。でも、どんな時でも彼らは非常に楽しそうに、私の目には映りました。ベ−クドポテトパーティーを開いて皆の意見を聴ききながら、またパーティーのホストとして皆を楽しませることも忘れてはいませんでした。何よりベジタリアンの私にとっては、料理を思いっきり楽しめるレストランのリスト(とっても短いリストではありますが)に一つ名前を加えることが出来て本当に嬉しく思っています。ポテトって魅力的だし、もし私が彼らにインターナショナルラブカフェのレシピを提供すれば(私は親切なのでもちろん提供しようと思っています!)もっと色々なベジタリアントッピングが楽しめるようになるでしょう。ぜひ皆さんも食べてみて下さい。

それでは、次回のラブカフェまで美味しいベジタリアンフードを楽しみに待っていて下さい。